職人(しょくにん、英語:craftsman)とは、自ら身につけた熟練した技術によって、手作業で物を作り出すことを職業とする人のことである。
江戸時代の士農工商の「工」にあたるが、歴史的に日本では彼らを尊ぶ伝統があり、朝鮮半島より渡来した陶芸工や鉄器鍛治は士分として遇された。
彼らの持つ技術は??芸(しょくにんげい)とも呼ばれる。
「職人」は主に工業として物を作る人間を指すことが多く、陶磁器などでも芸術作品として作る者は一般に「陶芸家」などと呼ばれる。
産業革命以前には、職人が生産活動の中心となっていた。技術は主に徒弟制度によって伝承されており、職場を訪ね親方の許しを得て弟子入りし、年季奉公をすることが通例であった。技は手取り足取り親方が弟子に教えるのではなく、簡単な作業や雑用を行う合間に盗むものとされ、一人前になるには数年から数十年を要する場合すらあった。
しかし、近年の社会・産業・生活様式の変化に伴い、従来の厳しい徒弟制度の下で職人を目指す若者は激減しており、そのあり方は大きな変革を迫られている。
現在では、手工芸品(特に伝統的工芸品)を作る人や大工・左官・庭師、手工芸品以外の例外的なものとしては食品を扱う「寿司職人」、また、特に優れた金属加工技術を有する人を職人と呼ぶ。
「―気質」(しょくにんかたぎ)という言葉がある。これは「自分の技術を探求し、また自信を持ち、金銭や時間的制約などのために自分の意志を曲げたり妥協したりすることを嫌い、納得のいく仕事だけをする傾向」、「いったん引き受けた仕事は利益を度外視してでも技術を尽くして仕上げる傾向」などを指す。日本では、こうした昔気質を持つ職人が高度経済成長期の頃から減少したと言われる。
特に建築分野での衰退は著しい。その要因は、後継者不足の他、海外から輸入されたツーバイフォー工法や、プレハブ工法など、伝統的技術を要しない工法が大手ハウスメーカーなどにより普及した事が挙げられる。
しかしながら高度に精密な加工を要求される機械時計の製作や宇宙工学の分野では依然、高い技能を持った職人の存在が不可欠である。たとえばiPodの背面部分の鏡面加工されたステンレスは、日本(新潟県燕市)の町工場の職人による加工が行われている。
また、名工の中にはいわゆる人間国宝に認定されたり、叙勲される者もいる。手工芸分野の人間国宝には、日本工芸会の推薦が必要とされている。その他彼らに対する大臣表彰や地方自治体表彰などもあるが、本来の優れた職人像とはかけ離れているという異論もある。
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現在、職人の占める重要な地位や、洗練された技巧をテレビで紹介されることが多くなり、志願者が微増しているとの見方もある。
インターネットスラングなどでは、仕事としてではなくあくまでも趣味として、優れた作品を作る人間のことも敬称としての意味をこめて「職人」と呼ばれる。
呼称の例としては「ハガキ職人」「フラッシュ職人」など。「絵師」の使われ方にも同様の共通点が見られる。
高性能なパソコンや各種ソフトウェアが個人間にも普及するようになった以後は、プロ顔負けの高品質なフラッシュ、動画、イラストレーション、アスキーアートなどの作品が無数の「職人」たちによって極めて迅速に作られ、インターネット上に公開されている。またしばしば、本職のイラストレーターや作曲家なども趣味として作品を作り「職人」になっている。